森林には、生物多様性の保全、土砂災害の防止、土壌の保全など、8つの公益的機能があるとされ、これらの森林が持つ多面的機能の経済的価値は約70兆円に上ると試算されています。こうした機能を将来にわたって維持、発揮させるためには、 森林整備が不可欠となります。
ところが、森林所有者の不在村化や世代交代の進行により、所有者や境界が不明な土地が増加しており、森林整備が進んでいません。その結果、森林の公益的機能が低下しています。このような状況は、山地災害のリスクを高め、さらには災害時の復興、復旧の遅れにつながりかねません。
したがって、森林の所有者と境界を明確にして、整備を進め、地域の森林の公益的機能を回復することが必要とされています。
当社では、ドローンによる高精度な航空測量とAI画像解析の知的財産技術を活用して、森林の境界明確化を効率的かつ正確に実現しています。さらに、現地精通者の貴重な情報や現地調査によってその精度を高めます。また、ドローンによる空撮データから得られる森林資源情報は、後の森林整備にご活用いただけます。
こうした取り組みを通じて、森林境界の明確化、森林の現況把握を進めることにより、森林の公益的機能の回復とこの景観を未来へつなげていきます。
微地形表現図:尾根や谷、道路等の微細な起伏を視覚化した図
境界を地形情報に合わせて修正します。
過去の空中写真:過去に撮影された航空写真
過去の施業歴や植生界等の土地利用変化を分析します。
オルソ画像・森林資源量データ:ドローンで撮影した最新の空中写真・木1本ごとの樹種、材積など森林の基本情報がわかるデータ
最新の情報を境界に反映するとともに、森林の価値がわかる情報の蓄積が可能になります。
スマート林業の特許技術を用いて、AIにより自動で林相区分図を作成します。
森林施業は所有者ごとに行うことが多いため、林相の違い(樹種や樹高の違い)が境界の判断材料となります。
国際共同開発の森林管理システム(ForPas:商標出願)を使用して、上空からは確認できない現地の境界目印(杭、境界木、岩、テープ等)の位置情報と写真を記録します。森林所有者が森林の大まかな位置をイメージできるように、ランドマーク(小屋、林道入口、砂防堰堤、祠等)も併せて記録します。
また森林境界の知見を有する地元精通者がいる場合は、境界情報の聞き取りを行い、地域性を考慮した境界案を作成します。
集会所等で森林所有者に、所有地の樹種や地形、林相など森林の現況を確認していただきます。現地にいかずとも、ご自身の森林について深く知っていただけるよう、心がけています。
そのうえで、所有地の位置と境界を確認、同意していただき、最終的な成果として取りまとめを行います。